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病気の知識

小児の感染症 − こどもの咳のおはなし ~お子さんの咳について知っておきましょう

ご自身やご家族の症状について、心配や疑問を持たれた場合には、ご自分で判断されずにお医者さんにご相談ください。

監修:福岡歯科大学医科歯科総合病院 総合医学講座 小児科学分野 教授 岡田 賢司 先生

お子さんに咳が出始めたら

異物を排除しようとする反射的な防御反応

咳は発熱とならんで、子どもの病気の代表的な症状です。もともと咳というのは、口から肺につながる気道(空気の通り道)のどこかに外部から侵入したかぜのウイルスやほこり等の異物があるとき、その異物を排除しようとして反射的に起こる人間の自然な防御反応です。
しかし、咳の背後には原因となるさまざまな病気が潜んでいます。
子どもの揚合、よくみられるのが、かぜ等の呼吸器感染症、気管支哨息、副鼻腔炎等です。
お子さんの咳は、体の中に何らかの異常があることを伝えるサインですから、咳が出始めたら、軽く考えないで注意深く見守ってあげてください。

喉は体の異状を伝えるサインです

咳にも種類があります

ひと口に咳といっても、いろいろ特徴があります。
お子さんが咳くときの音を聞いてみると、軽い調子の「コン、コン」という乾いた感じの咳(乾性咳嗽)や、痰がからんだ「ゴホン、ゴホン」という湿った感じの咳(湿性咳嗽)があります。まれに「ケン、ケン」と犬が吠えるように聞こえる犬吠様咳嗽という咳もあり、呼吸困難につながる重症の病気の症状のことがあります。ひどくなると、入院して治療を受ける必要があります。
咳の続く期間も重要です。3週間未満で落ち着く咳(急性の咳)、 3~8週間続く咳(遷延性の咳)、 8週間以上続く長引く咳(慢性の咳)、として区別しています。
お子さんの咳が続く期間や、咳の様子を知ることは、その背後に潜む病気を見つける重要な手がかりとなるのです。

咳の続く期間から見た咳の分類

咳の原因となる病気もいろいろ

子どもの咳の原因としてよくみられる病気には、ウイルスや細菌に感染して起こる呼吸器感染症、気管支端息、副鼻腔炎等があります。一般に、咳の続く期間が比較的短ければ、急性の感染症を起こしている可能性が高いと言われています。
突然起こるお子さんの病気には、戸惑うことも多いでしょうから、ここからは咳をともなう急性の呼吸器感染症についてお話します。

咳をともなう呼吸器系の感染症

冬になり、かぜのシーズンがおとすれると、小児科外来の待合室は、熱でぐったりしたり、咳き込んだりしている子どもでいっぱいです。
咳をともなう子どもの感染症は、お子さんの年齢(生まれて1ヵ月以内の新生児期、生まれて1歳までの乳児期、2歳から入学前までの幼児期、小学生以上の学童期)によって少しすつ異なります。ここでは咳と発熱が主な症状となる子どもの代表的な感染症を簡単に紹介します。

咳をともなう呼吸器系の感染症

1. 普通感冒(かぜ症候群)

よくいわれる“かぜ”です。鼻からウイルスが感染して、3日程度で鼻みずや鼻づまりとなり、その後に咳が始まることがあります。子どもからおとなまで誰でもかかります。

2. クループ症候群

“ケン、ケン”と犬が吠えるような咳(犬吠様咳嗽)が特徴です。のどの奥が炎症で腫れて、呼吸困難を起こす危険な病気です。幼児に多くみられ、かぜ症状に引き続いて起こります。ほとんどがウイルス性ですが、ひどくなると入院治療が必要となります。

3. 急性気管支炎

気管支に炎症が及んだ状態で、発熱、乾いた咳で始まり、次第に湿った咳(痰をともなう)へと変化します。原因はウイルス感染によるものが多く、原則は咳止めや痰が出やすくなるような薬等で様子をみます。高熱で膿状の痰(膿性痰〉がある場合は細菌感染も考えられますから、抗菌薬を内服します。どの年齢にもみられる病気です。

4. 肺炎

発熱、咳、多呼吸等が主な症状です。子どもの肺炎の原因(原因微生物)は年齢によって異なります。新生児期にはB群連鎖球菌、大腸菌等の腸内細菌、 1~2歳では、多くのウイルス、肺炎球菌・インフルエンザ菌といった細菌が多いようです。2~6歳では肺炎球菌・インフルエンザ菌、肺炎マイコプラズマ・肺炎クラミジアが多く、学童期以降では、肺炎球菌やインフル工ンザ菌が少なくなり、肺炎マイコプラズマ・肺炎クラミジアが主な原因とされ、抗菌薬を投与することが推奨されています。

5. 百日咳

その名のとおり、特徴的な咳や長引く咳がある病気です、百日咳は三種混合(百日咳・ジフテリア・破傷風)ワクチンの接種率が向上したことで最近患者数は少なくなってきましたが、地域的には小流行を起こしています。予防接種率が低下すると再び流行する感染症(再興感染症)の一つです。乳児に多い病気とされていましたが、最近は学童期以降や成人にもあることがわかってきました。治療には抗菌薬を投与します。

咳とお薬

咳には咳止め(鎮咳薬)がありますが、止めてはいけない咳もありますから、安易に咳止めを使うことは好ましくありません。たとえば喘息発作の揚合、薬によって咳を止めてしまうと、痰を排出できなくなり、溜まってしまった痰が気管支の内側をさらに狭くして、逆に苦しくなってしまうからです。こんなときは、咳止めは使用せず、痰を取り除く薬(去痰薬)や気管支を広げてあげる薬(気管支拡張薬)を用います。
呼吸器感染症の場合は、咳の症状があれば必要に応じて咳止めを使います。
しかし大切なのは咳の原因となっている病気を治療することです。軽症のかぜであれば、解熱薬や咳止めといった症状をやわらげる薬だけで十分ですが、病状が進行して、肺にまで炎症がおよぶと、細菌感染症を起こしている可能性が高く、症状も重くなってきます。こういう揚合は原因と考えられる細菌に有効な抗菌薬を使用します。

対症療法(症状をやわらげるのが目的です。咳止め(鎮咳薬)を使用します。)・原因療法(咳の原因になっている病気の治療です。原因が病原菌による感染症であれば、抗菌薬を使用します。)

※治療に関しては、主治医にご相談ください。

家庭で注意してほしいこと

ご家庭で小さなお子さんが咳き始めて止まらないとき、咳が続くときに、お子さんのためにしてほしいポイントをいくつか紹介します。

  • 加湿器を使うなどしてお部屋を適度な湿度に保ち、きれいな空気にしてください。タバコの煙はお子さんの咳をひどくします。(できれば止めてください。)
    ご家族に喫煙される方がいる揚合は十分注意してください。
  • 夜間に咳き込むようなときには、水分を取らせてください。その際、一度にたくさん飲ませるのではなく、何回かに分けて少量ずつ飲ませてください。
  • 寝ているとき咳が激しい揚合は、上半身を起こしてください。こうすると、気管や肺を圧迫しないので、痰が出やすくなります。

家庭で注意してほしいこと

咳とあなどるなかれ

咳の原因は、すでにお話した呼吸器感染症や端息以外にも、まれではありますが、ストレスによるもの、腫瘍によるもの、あるいは先天異常等、いろいろな病気が潜んでいる可能性があります。咳は体の中に起こっている何らかの異常を知らせるサインと思ってください。おとな、子どもを問わず、ご家庭の中で注意深く見守っていただきたいものです。

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