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病気の知識

脂質異常症と動脈硬化 − なるほど、なっとく 高コレステロール血症

ご自身やご家族の症状について、心配や疑問を持たれた場合には、ご自分で判断されずにお医者さんにご相談ください。

監修:地方独立行政法人 りんくう総合医療センター 病院長
大阪大学大学院医学系研究科総合地域医療学寄附講座 特任教授
山下 静也 先生

コレステロールが高いとなぜ悪い?

コレステロールはなぜ高くなる?

コレステロールが高くなる原因には、体質(遺伝)、脂肪の多い食事(欧米スタイルの食生活)、運動不足などがあり、男性は40~50歳くらいから、女性は閉経を迎える頃から高くなることが多くみられます。

脂質異常症の診断

脂質異常症は、コレステロールや中性脂肪(トリグリセライド)が異常な値になる病気です。下の表の基準で診断されます。

脂質異常症の診断の目安

  *:10時間以上の絶食を「空腹時」とする。ただし水やお茶などカロリーのない水分の摂取は可とする。

 **:スクリーニングで境界域高LDL-C血症、境界域高non-HDL-C血症を示した場合は、高リスク病態がないか検討し、治療の必要性を考慮する。

●LDL-CはFriedewald式(TC — HDL-C —TG/5)または直接法で求める。

●TGが400mg/dL以上や食後採血の場合はnon-HDL-C(TC — HDL-C)かLDL-C直接法を使用する。ただしスクリーニング時に高TG血症を伴わない場合はLDL-Cとの差が+30mg/dLより小さくなる可能性を念頭においてリスクを評価する。

日本動脈硬化学会編:動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017年版. 2017 p26;日本動脈硬化学会, 東京より改変

コレステロールが動脈硬化を起こす仕組み

動脈硬化は、血管の壁が厚くなって血管の内側が狭くなった状態を言いますが、これは血管壁の中にコレステロールがたまることが一つの原因です。血液の中に、悪玉コレステロール(LDLコレステロール)が増えると、それが血管壁に入り込んで、コブのような動脈硬化ができます。なお、善玉コレステロール(HDLコレステロール)は逆に動脈硬化を防ぐ働きがあります。動脈硬化が進むと、心筋梗塞・狭心症や脳卒中、足などの血管がつまる病気(閉塞性動脈硬化症)になることがあります。

動脈硬化を起こす「危険因子」

悪玉コレステロール(LDLコレステロール)が高いことに加えて、高血圧、喫煙、糖尿病、慢性腎臓病、低HDLコレステロール(善玉コレステロールが低いこと)などがあると、より動脈硬化になりやすくなります。このような要因を動脈硬化を起こす危険因子と呼びます。

動脈硬化を起こす危険因子

コレステロールの治療の目安

冠動脈疾患になったことのない人(一次予防)の悪玉(LDL)コレステロールの目標値は、コレステロール以外の危険因子の種類や数によって決まります。冠動脈疾患になったことのある人(二次予防)はさらに低い値が目標値となります。

リスク区分別脂質管理目標値

上記の管理目標値には考慮が必要な注意点があります。

※1:家族性高コレステロール血症、急性冠症候群の時に考慮する。糖尿病でも他の高リスク病態[非心原性脳梗塞、末梢動脈疾患(PAD)、慢性腎臓病(CKD)、メタボリックシンドローム、主要危険因子の重複、喫煙]を合併するときはこれに準ずる。

※2:non-HDLコレステロールは、総コレステロールからHDLコレステロールを引いた値。

●一次予防における管理目標達成の手段は非薬物療法が基本であるが、低リスクにおいてもLDL-Cが180mg/dL以上の場合は薬物治療を考慮するとともに、家族性高コレステロール血症の可能性を念頭においておくこと(ガイドラインを参照)。

●まずLDL-Cの管理目標値を達成し、その後non-HDL-Cの達成を目指す。

●これらの値はあくまでも到達努力目標値であり、一次予防(低・中リスク)においてはLDL-C低下率20~30%、二次予防においてはLDL-C低下率50%以上も目標値となり得る。

●高齢者(75歳以上)についてはガイドラインを参照。

日本動脈硬化学会編:動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017年版. 2017 p54; 日本動脈硬化学会, 東京より改変

コレステロールが高い人に勧められる4つのアドバイス

①禁煙し、受動喫煙を回避する。②食事を見直す。③運動を習慣にする。④薬を飲む。

コレステロールを下げるための食事のポイント

ポイント1 「伝統的な日本食」は動脈硬化性疾患の予防に有効です

「伝統的な日本食」とは

伝統的な日本食イラスト

食生活が西欧化する1970年代以前の日本では植物性の食品(雑穀、大麦、玄米、いも、果物、野菜、海藻など)と海産物(魚、貝)が多く食事にとりいれられていました。
最近、このような食品を習慣的にとっていたことによって、日本人は欧米人に比べて心筋梗塞などが少なかったことがわかってきました。現在、日本人の間にも欧米と同じような肉を中心とした食生活が浸透し、それとともに日本人でも心筋梗塞などが増えています。
こうしたことから、以前、日本人がとっていた「伝統的な日本食」が見直されています。ただし、日本食では塩分をとりすぎることがあるので、減塩を心掛けることが大切です。
「和食」は2013年にユネスコ無形文化遺産にも登録されました。

日本動脈硬化学会編:動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症治療ガイド2013年版改訂版(第3版)2017、p.115
日本動脈硬化学会編:動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017年版. 2017 p70; 日本動脈硬化学会, 東京. を参考に作成

ポイント2 過食を抑え、標準体重を維持しましょう

まずご自分の標準体重を知りましょう

標準体重、(好ましい体重)標準体重=22×身長(m)×身長(m)、肥満がある方の望ましい1日のエネルギーの量、1日のエネルギー量=標準体重×25~30キロカロリー

最初は、1日あたり250キロカロリー減らすことから始めてもよいでしょう。
エネルギーの量や、栄養素の組み合わせ方については、医師や管理栄養士に相談しましょう。

日本動脈硬化学会:動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症治療ガイド2013年版改訂版(第3版)2017、p.34を参考に作成

ポイント3 肉の脂身、乳製品を控えめに

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ポイント4 野菜、未精製穀類、海藻、魚類、大豆製品、玄米などを増やす

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ポイント5 塩辛い食品を控えめに、アルコールはほどほどに

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日本動脈硬化学会:動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症治療ガイド2013年版改訂版(第3版)2017、p.34を参考に作成

ポイント6 食習慣の悪い“くせ”を直す

悪い“くせ” チェックリスト。朝食や昼食を抜くことがある。いつもお腹いっぱい食べる。寝る直前に夕食をとる。早食いだ。まとめ食いをする。テレビや新聞をみながら食事する。味の濃いものばかりを食べる。外食が多い。

日本動脈硬化学会:動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症治療ガイド2013年版改訂版(第3版)2017、p.35を参考に作成

朝食、昼食、夕食を規則正しくとりましょう。
好ましい体重を維持するために、腹八分目を心掛け、就寝前2時間の食事を避けて、よくかんで、ゆっくり食事をとるようにしましょう。まとめ食い、ながら食いは食べ過ぎのもとです。塩分を控えるためにも薄味に慣れるようにしましょう。
栄養バランスをくずしやすい外食はできるだけ控えましょう。

食事療法の注意点
食事療法に取り組む方はまず医師の指示や管理栄養士の指導を参考にして食事療法を行ってください。
効果の判断については定期的にコレステロールの値を検査し、その変化をみながら、継続できる食べ方を探っていきましょう。
食事は楽しむことも必要ですので、無理のない食事療法が大切です。
特に75歳以上の高齢者においては、厳格な食事療法はむしろ低栄養状態になることもありますので注意が必要です。また、食品と薬物の相互作用に注意しましょう。

運動って、なぜいいの?

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運動は、肥満の解消に加えて、内臓のまわりについた脂肪を減らしたり、筋肉を増やして糖や脂肪の代謝をよくします。これによって、高コレステロール血症だけでなく、生活習慣病や年齢とともに現れるさまざまな病気に効果があります。これらの効果は、肥満の人だけでなく、肥満ではない人でも十分に期待できます。

生活の中で毎日30分を目標に

出勤の途中で電車やバスを1つ前の駅・バス停で降りて歩く。階段を使う。買い物や通勤で自動車をやめて歩く。

おすすめは「歩く」こと

運動として「歩く」ためには、少し工夫が必要です。
普段歩くよりも速く、少し汗ばむくらいの速さで歩きます。
多少息が切れながらも、人と話しながら歩けるペース(にこにこペース)が目安です。
息が苦しく「きつい」と感じるのはペースが速すぎです。
運動中の脈拍数を目安にすることもできます(次項)。
運動の前にはストレッチ運動で体をほぐし、終わった後も5分くらい軽い体操をして体を冷やしましょう。
歩数や体重を毎日記録すると、運動を続ける励みになります。

歩幅はいつもより広め70~75cmくらいに

財団法人日本食生活協会「健康づくりのための運動指針」p.10より一部改変

「歩く」以外に運動療法に適した運動

運動の強さは、自分の体力の半分くらいの強さ(楽である~ややきついと感じるくらい)を目安にしましょう。

サイクリング。水泳水中歩行。ラジオ体操。

日本動脈硬化学会:動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症治療ガイド2013年版改訂版(第3版)2017、p.45-46を参考に作成

薬を飲むと、コレステロールはどうなる?

薬でコレステロールは下がりますか。人によって差はありますが、ほとんどの人は悪玉コレステロールが下がります。善玉コレステロールが増える薬もあります。コレステロールが下がったら、薬はやめられるんですか。コレステロールが下がったからといって、自分の判断でやめてしまうと、また高くなってしまうことがあります。でも、食事に気を付けて、体重を適正に保てば、薬なしで、コレステロールが低い状態に保てることもあります。食事療法や運動療法もしっかり続けていきましょうね。

危険因子の種類と数をもとに分類した簡易チャートとリスク区分

(管理目標値は「コレステロールの治療の目安」を参照)

危険因子の種類と数をもとに分類した簡易チャートとリスク区分

(注)40歳未満および75歳以上の患者さんでは、こちらのチャートを使用せずそれぞれの主治医が脂質管理について判断します。

日本動脈硬化学会編:動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017年版. 2017 p54;日本動脈硬化学会, 東京.より作図

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