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病気の知識

脂質異常症(高脂血症)と動脈硬化 − コレステロールに要注意

ご自身やご家族の症状について、心配や疑問を持たれた場合には、ご自分で判断されずにお医者さんにご相談ください。

日本人の約4人に1人は動脈硬化性疾患を含む心血管疾患で亡くなっています。

監修:田附興風会医学研究所 北野病院 副院長 心臓センター長 野原 隆司 先生

日本人の主な死因別死亡数の割合

現在、日本の死亡原因の第1位は悪性新生物(癌)、第2位は心疾患、第3位は肺炎、第4位は脳血管疾患です。心筋梗塞や狭心症などを含む「心疾患」、脳梗塞を含む「脳血管疾患」を合わせると、約4人に1人が亡くなる原因となっております。これは、癌で亡くなる人の割合にほぼ匹敵します。心疾患や脳血管疾患は怖い病気なのです。

”静かなる殺し屋”、動脈硬化はこうして起こる。

コレステロールは人間の体に欠かせない脂質のひとつですが、増えすぎると血管壁に蓄積し、動脈硬化の原因となります。コレステロールには、悪玉(LDLコレステロール)と善玉(HDLコレステロール)があります。

[LDLとHDL働き]

悪玉が血中で過剰に増えるとコレステロールが血管壁に蓄積し、血管を詰まらせたり、動脈硬化を進行させます。
そんな動脈硬化は、静かなる殺し屋(サイレン卜・キラー)とも言われています。それは「動脈硬化そのものには自覚症状がない」からなのです。人によっては、ある日突然、心筋梗塞や脳梗塞を起こして初めて動脈硬化に気づくということも…。最悪の場合、治療を受ける機会のないまま、亡くなる方もいらっしゃいます。

こういう人は要注意!

下記のような危険因子を持つ人は、動脈硬化やそれによる病気になる可能性が高いため、要注意です。

[動脈硬化性疾患の危険因子・高リスク病態]

こうした危険因子の中でも、脂質異常症は動脈硬化に大きな影響を与えます。悪玉のLDLコレステロールは動脈硬化性疾患の重要な危険因子です。

脂質異常症とは?

「脂質異常症」とは、血液中の悪玉のLDLコレステロールが多すぎる、あるいは、善玉のHDLコレステロールが少なすぎるなどといった、血中の脂質の値が異常な状態を指します。悪玉のLDLコレステロール値が高いほど、また善玉のHDLコレステロール値が低いほど、冠動脈疾患の発症率は上昇します。
動脈硬化性疾患予防ガイドラインでは、高LDLコレステロール血症、境界域高コレステロール血症、低HDLコレステロール血症、高卜リグリセライド血症の診断基準が設定されており、その値を元に医師が判断していきます。

[脂質異常症:スクリーニングのための診断基準/空腹時採血]

LDLコレステロール 140mg/dL以上 高LDLコレステロール血症
LDLコレステロール 120~139mg/dL 境界域 高LDLコレステロール血症*
HDLコレステロール 40mg/dL来満 低HDLコレステロール血症
トリグリセライド(中性脂肪) 150mg/dL以上 高トリグリセライド血症

*高リスクの病態がないか検討し、治療の必要性を考慮する
日本動脈硬化学会編 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2012年版より

あなたの脂質の管理目標値は?

[脂質の管理目標値]

動脈硬化性疾患予防ガイドラインでは、動脈硬化の危険因子の種類と数から判定されるカテゴリー区分によって、悪玉のLDLコレステロール値などの管理目標値が定められています。動脈硬化性疾患から身を守るために、生活習慣の改善や薬物治療で、悪玉のLDLコレステロール値などをしっかり管理することが重要です。

[リスク分別脂質管理目標値]

LDLコレステロール値と冠動脈疾患の関係。

下のグラフにあるとおり、日本人の疫学データより、悪玉のLDLコレステロール値が低いほど、冠動脈疾患(心筋梗塞や狭心症)を発症するリスクが低いことが明らかにされています。そのため、ご自身のLDLコレステロール値を把握し、高ければ少しでも下げる努力を行うことが大切です。

[LDHコレステロール値ごとの総冠動脈疾患および心筋梗塞の発祥リスク]

※治療が必要になるLDLコレステロール値や、LDLコレステロールの目標値は、患者さんが持つ危険因子の数や程度に応じて異なります。主治医にご相談ください。

そのリスク、見落としていませんか?

そのリスク、見落としていませんか?

「自分は悪玉のLDLコレステロール値が低いから大丈夫」という方でも、他の危険因子の種類や数によって、脂質の管理目標値が異なります。
脂質管理目標値があなたが思っているよりも厳しく設定される場合があります。ここでは、その事例を紹介します。

[事例1]●男性50歳代●高血圧 ●喫煙●低HDLコレステロール血症:カテゴリIII[事例2]●男性60歳代●末梢動脈疾患(PAD)を患っている:カテゴリIII[事例3]●女性50歳代●早発性冠動脈疾患の家族歴*がある●低HDLコレステロール血症:カテゴリII

生活習慣、食事、運動を改善しましょう。

脂質異常症の治療の基本は、生活習慣の改善(食事療法、運動療法)です。下記の表に書いてあることを継続して実行し、改善を目指しましょう。

禁煙し、受動喫煙を回避する 過食を抑え、標準体重を維持する 肉の脂身、乳製品、卵黄の摂取を抑え、魚類、大豆製品の摂取を増やす 野菜、果物、未精製穀類、海藻の摂取を増やす 食塩を多く含む食品の摂取を控える アルコールの過剰摂取を控える 有酸素運動を毎日30分以上行う 1.エネルギー摂取量と身体活動量を考慮して標準体重(身長(m)<sup>2</sup>×22) を維持する 2.脂肪エネルギー比率を20~25%、飽和脂肪置を4.5%以上7%未満、コレステロール摂取量を200mg/日未満に抑える 3.n-3系多価不飽和脂肪酸の摂取を増やす 4.炭水化物エネルギー比率を50~60%とし食物繊維の摂取を増やす 5.食塩の摂取は6g/日未満を目標にする 6.アルコールの摂取を25g/日以下に抑える 運動強度* 最大酸素摂取量の約50% 量・頼度 1日30分以上(できれば毎日)週180分以上 種類 速歩、社交ダンス、スロージョギング、水泳、サイクリング、ベンチステップ運動など *運動強度/1.運動時の脈拍から推定する方法(運動強度50%のとき)心拍数〔脈拍/分)=138-(年齢/2) 2.自覚的な感じから推定する方法:ポルグ・スケール(主観的運動強度)で11~13(楽である~ややきつい)/最大酸素摂取量:全身持久力(呼吸循環能力)の指標

脂質異常症のための薬物療法

動脈硬化予防の基本は、食事や運動などを見直して、毎日の生活習慣を改善することですが、生活習慣の改善を十分に行ったにもかかわらず、LDLコレステロール管理目標値が達成できない場合には、かかりつけ医の指導のもとで「薬物療法」を行うことも重要な選択肢のひとつです。 脂質異常症の治療薬にはさまざまなものがあります。

[主としてLDLコレステロールを下げる薬]

分類 HMG-CoA 還元酵素阻害薬
(スタチン系薬剤)
陰イオン交換樹脂 小腸コレステロール
トランスポーター阻害薬
作用 肝臓でのコレステロールの
合成を抑制
腸内で胆汁酸と結合して
便として排泄
小腸でのコレステロール
吸収機構を阻害する

[主として卜リグリセライド(中性脂肪/TG)を下げる薬]

分類 フィブラート系薬 ニコチン酸誘導体 EPA
作用 肝臓での中性脂肪の
合成を抑制
末梢脂肪組織から脂肪酸の動員抑制
胆汁酸の排泄促進
肝臓での中性脂肪の
合成を抑制

日本動脈硬化学会 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2012年版より改変

※薬物治療の必要性は、患者さんの持つ危険因子の数や程度を参考に医師が判断します。主治医にご相談ください。

関連サイト - よく知って、しっかり予防。メタボリックシンドローム

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