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病気の知識

高血圧 − 日本人のための血圧コントロール ~普段気をつけることは?

ご自身やご家族の症状について、心配や疑問を持たれた場合には、ご自分で判断されずにお医者さんにご相談ください。

塩分をため込みやすい日本人には、早めの減塩による高血圧対策が大切です

勝谷 友宏氏(兵庫県尼崎市 勝谷医院 理事長・院長)

日本には今、約4300万人の高血圧患者がいます。高血圧には自覚症状がありません。それなのに、放っておくと死に至ることもある病気です。そのため高血圧は、「サイレントキラー(静かなる殺人者)」と呼ばれています。
高血圧の原因は、塩分の摂り過ぎ、肥満、飲酒、ストレス、そして遺伝もあります。日本人には塩分を体内にため込みやすい体質の遺伝子(食塩感受性高血圧遺伝子)を持つ人が多く、高血圧やメタボリック・シンドローム、肥満になりやすい傾向があります。しかし一方では、国民の平均血圧が4mmHg低下することにより、脳卒中死亡者は約1万人減少することが見込まれています。同時に虚血性心疾患の死亡者も減少させることが可能になり、循環器疾患全体では2万人の死亡が予防できるといわれています(健康日本21)。つまりこの遺伝子を持つ人は、高血圧になる一歩手前から食生活を改善し、減塩に取り組むことによって、高血圧を効果的に予防できる“努力が報われるタイプ”なのです。例えば「今日からは、食卓のたくあんを減らそう」というように、少しずつ塩分摂取を減らしていくことをおすすめします。そうすれば、味の変化に苦労することなく、減塩が可能になるでしょう。
遺伝の話になると、私はTVなどに出演し、過激なコメントで活躍している兄(コラムニストの勝谷誠彦氏)のことを思い出します。あまりの過激ぶりに、ときには兄弟であることを隠したいと思うこともありますが、兄弟の縁は変えられません。しかし、遺伝子は変えられなくても、環境や生活習慣は変えられます。親兄弟を見て、自分が受け継いでいる遺伝子がわかれば、自分の体質や、どんな病気に罹りやすいかが想像ができます。したがって、どんな環境を整備し、どこに注意して生活すればよいかがわかるのです。
高血圧の予防には、タバコをやめること、暴飲暴食をひかえ、塩分の摂り過ぎに注意することが大切です。そして日常的にご自宅で、朝食前と就寝前に、血圧を測ることをおすすめします。高血圧と診断されても早期の段階で治療を始め、病気を理解し、きちんとお薬を飲んでいけば、血圧を正常に保つことができるのです。

[患者さんの状態にあわせた降圧目標一覧]

  診察室血圧 家庭血圧
74歳以下の
合併症のない方
140/90mmHg未満 135/85mmHg未満
75歳以上の方 150/90mmHg未満
(忍容性があれば140/90mmHg未満)
145/85mmHg未満(目安)
(忍容性があれば135/85mmHg未満)
糖尿病のある方 130/80mmHg未満 125/75mmHg未満
慢性腎臓病で、
蛋白尿のある方
130/80mmHg未満 125/75mmHg未満(目安)

[日本人の体質にあったテーラーメイド治療]

生活習慣の改善には、それぞれ決められた目標値があります。しかし、一度に全部達成しようとすると途中でくじけてしまいがちです。自分の身体にぴったりとしたテーラーメイドの服をあつらえるように、各々の体質にあった目標値や努力する順番がわかると、成功しやすくなると考えられます。

減塩キャンペーン

高血圧治療の基本は「1に減塩、2に運動、3に薬物治療」です。
塩分摂取を減らし、塩分を体外に排出して、体内の減塩化を図りましょう。

日本高血圧学会と日本高血圧協会は、毎年5月17日を「高血圧の日」と定め、高血圧の啓発活動として「減塩キャンペーン」を実施しています。高血圧の日を中心に、各種のセミナー・講演会、市民公開講座、減塩食品の紹介などの活動を行っていきますので、ぜひご注目ください。

メタボ・肥満タイプの高血圧には、さらに注意が必要!

森下 竜一氏(大阪大学大学院医学系研究科臨床遺伝子治療学教授)

飽食の時代といわれる現代の日本で、問題になっているのがメタボリック・シンドローム(Q&A参照)、いわゆる“メタボ”です。またBMIが25以上の場合を肥満といいますが、今、日本では2200万人、人口の5人に1人が肥満だといわれています。
こうしたメタボ・肥満体質の方は、高血圧になる危険性が高い。また、脂質異常症や糖尿病などの生活習慣病を併発したり、心筋梗塞を引き起こしたりもします。したがって、メタボや肥満の改善は非常に大切です。しかしダイエットがなかなか難しいことも確かでしょう。そこで考えていただきたいのが、まず血圧を下げること。そしてそのために重要なのが、食生活の改善、つまり減塩です。
もうひとつ、降圧のために重要なのが、薬をきちんと服用することです。最近では、血管を収縮させるアンジオテンシンⅡの働きをブロックすることにより、血圧を低下させるアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)という薬が広く使われるようになっています。
そのほか、睡眠不足も血圧上昇の原因になりますし、休日の“寝だめ”のような過度の睡眠も、食欲増進ホルモンに作用し、肥満や糖尿病の原因になります。もちろん、歩くことなどの軽い運動を続けることが、メタボ対策には有効です。つまり高血圧や糖尿病、メタボの予防には、腹八分目の減塩食と適正な睡眠、適度な運動が不可欠なのです。

高血圧の治療に使われるお薬の種類

ARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬)
血管を収縮させる物質であるアンジオテンシンⅡの働きをブロックし、血圧を下げる作用があります。広く用いられている薬の1つです。
ACE阻害薬
アンジオテンシンⅡをつくる酵素(ACE)の働きを抑えることで血圧を下げます。
Ca拮抗薬
血管を収縮させているカルシウムイオンをブロックすることで血管を広げ、血圧を下げます。広く用いられている薬の1つです。
β遮断薬
交感神経のβ受容体を抑制して血圧を下げます。また心拍数を減らす作用もあります。
利尿薬
体液中の余分な水分や塩分を尿と一緒に排泄することによって血圧を下げます。

肥満判定基準BMI(Body Mass Index)を計算してみましょう!

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健やかな明日のために高血圧治療で気をつけること Q&A

高血圧やメタボ、生活習慣病の治療のために、日常生活で気をつけるべきポイントをご紹介します。
楽しく健やかな明日のために、今日から実践しましょう。

Q1. 食事の減塩をする際に、気をつけるべき点は?

食事の減塩をする際に、気をつけるべき点は?

A. 高血圧治療には減塩が不可欠です。だしや香辛料を上手に使い、薄味を心がけましょう。また私たちが日常的に口にしているもののなかには、塩分含有量の多い食品があります。かまぼこやソーセージ、インスタントラーメンやファストフード、スナック菓子、さらに干物や漬け物などを食べる量を、意識して減らしていくことが大切です。

[塩分含有量の多い食品]

塩分含有量の多い食品

Q2. メタボリック・シンドロームって何?その診断基準は?

A. 肥満症や高血圧、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病は、内臓に脂肪が蓄積した肥満が共通の原因となっています。このように、内臓脂肪型肥満によって、様々な病気が引き起こされやすくなった状態を「メタボリック・シンドローム」(メタボ)と呼びます。内臓脂肪の蓄積度合いを示す腹囲(おへその高さで正しく測ることが大切です!)が基準値(男性85cm以上、女性90cm以上)を超えており、かつほかの3項目のうち2項目以上を満たしている場合に、「メタボリック・シンドローム」と診断されます。

メタボリック・シンドロームって何?その診断基準は?

Q3. そのほか、高血圧治療で気をつけるポイントを教えてください。

A. 高血圧治療のために、毎朝(可能であれば就寝前も)、自宅で血圧を測ることは基本です。血圧が高いと、脳血管障害や心疾患の発症率も高くなります。適正に血圧をコントロールすることで、発症リスクを抑制できます。また禁煙が重要であることは言うまでもありません。受動喫煙のリスクも考え、ご家族や周囲の方にも禁煙していただけるようお願いしましょう。血圧を適正にコントロールするためには、主治医の先生と相談し、薬と上手に付き合っていくことも大切です。

関連サイト - よく知って、しっかり予防。メタボリックシンドローム

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